美術界の消息

  • 東京朝日新聞
  • 1905(明治38)/09/30
  • 7
  • 雑報

△白馬会展覧会 白馬会創立十週年紀念油絵展覧会は去廿三日より上野五号館南部に於て開会せり同会は入口より内部の陳列装飾に頗る意匠を凝らして見栄えあり且今回は本会創立十年紀を表する為別に十年前の大作を蒐集して縦覧に供することとし出品中旧作もあれど兎に角一人にて二三十点合計四百余点の多数となれり尤も今回は特別室を設け得る程の裸体画はなくも二三半裸体画は陳列しあり新作中重なる者は林忠正氏出品にて有名の仏国画家ラフエルラン氏筆洋美人の大樹の元に直立せる図、和田英作の衣通姫、小林萬吾の静御前、赤松麟作の牛耕作、和田三造の農馬数頭を使役する農家男女、小林千古の寺院装飾画中道、裸体美人黒田清輝のモデル人物手と手燈下の子供、安藤仲太郎の果物其他数十点なり

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