戦時の美術界

  • 都新聞
  • 1904(明治37)/10/04
  • 6
  • 雑報

△此程より上野公園に於て開会せし白馬会展覧会ハ戦時に 係らず例の如く優秀の作多く就中重なる出品ハ岡野栄氏の家鳩、和田三造氏の夢の勤め、熊谷守一氏の肖画像、小林 鐘一氏の雨後、中沢弘光氏の海辺、長原孝太郎氏の少女、湯浅一郎氏の清水、岡田清輝氏の大隈伯肖像、泉水(特別室 )冬、元禄の俤、ムードンの森(パステル仏国にて)エスノ紀念(パステル仏国 にて)和田英作氏の有るかなきかのとげ(西鶴の五人女某博士肖像、コロー(参考室)伊太利の紀念(模写)伊太利人ヒサネロの東洋の王女肖像、コーランの詩の画稿、小林萬吾氏の樹蔭、藤島武二氏の蝶、朝、夕、(装飾用)橋本邦助氏の朝顔、中丸精一郎氏の黄昏、戸田謙二氏(在米国)氏のリシントン公園の様、ロドルフウヰツマンの牧場の朝霜、水に映せる家、ジユリエツトウヰツマン)の白百合、フエルナンクノツフの初秋三宅克己氏の暴雲其他風景十数点にて参考品にハ筆者不明油絵老婆仏人ハンノトウ筆ヘロウヰルの景、筆者不明宗教画図、中丸精十郎氏モザイク苑台等あり、尚ほ特別室にハ古画裸体(松方伯所蔵 )岡田黒田諸氏の裸体画数点あり又た本紙に其戦地画報を掲げる故河野中尉の戦地写生図をも出陳せり

前の記事
次の記事
to page top