白馬会絵画展覧会の景況

  • 読売新聞
  • 1902(明治35)/10/02
  • 2
  • 雑報

目下上野五号館にて開会中なる第七次白馬会展覧会の景況に就てハ曩に概報し置きたるが今回ハ前回に比し出品頗る多く油絵の外水彩、チヨツク画、及び広告図案等見る可きもの多く出品者略五十余名にて出品点数凡そ四百点あり就中画幅の大なるものハ赤松麟作氏収穫の図、小林萬吾氏の難破船救助の図磯野吉雄氏佐藤博士李鴻章治療の図等にて売価は廉なるものハ三四円より数百円のものあり其中最も高価なるハ収穫の図五百円岡田三郎助氏筆少女の図五百円同氏筆読書の図同初夏同プルミエル、コミユニオンの図少婦の図各三百円白瀧幾之助氏筆通学の図三百円和田英作氏筆冬の日の図二百五十円等なり黒田清輝氏ハ海、四図花、林、肖像其他鉛筆画水彩画、パステル画色鉛筆画等数枚あり又一人にて出品点の数多きハ岡田三郎助氏四十一点中丸精十郎氏二十一点湯浅一郎氏十八点三宅克己氏十八点等を始め其他一人にて十数点を出品せしもの数人あり和田英作氏ハ自作油絵数点の外欧州広告図案三十六点を出品し広告図案も参考として見る可きもの多し又同会の一名物とも云ふ可き裸体画ハ本会に三四葉あれど何れも読書、或ハ後向等にて前年に出品せしものとハ異なれり又中丸精十郎所有出品にてギリシヤ風景クレープ筆其他海外画家の筆にて製作せられたるもの十三点を出品す三宅克巳氏ハ巴里市中の景最も多く出品点数十八点の内二三を除くの外多くハ同市の実景を描きたり藤島武二氏のハ出品中『明星』『芸苑』其他雑誌等の挿画にせしもの多し要するに本年の出品ハ前年に比し比較的出品多数なると印刷物及び広告図案等の出品しあると黒田、岡田両氏の出品とを特色とすべく彼の有名なる仏国人コラン筆肖像、楽詩等を始め其他欧洲にて知名の人の筆に就りしもの数点あり

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