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唐ノ節
 唐三朝志曰 節隋制也 黒漆竿上施円盤 周綴二紅綜一拂八層
 層黄繍龍袋籠之
      〔図〕 如此か
淵鑑類函巻一百八十八琴ノ部ニ
 後漢李尤琴銘曰 琴之在音、蕩滌邪心。雖有正性、其感
 亦深。存雅却鄭、浮侈是禁。條暢和正、楽而不淫。
 (正倉院御物琴ノ裏ニ此銘ヲ刻ス)
蒔繪ノ仕方
 繪図ヲ薄葉にうつし裏より地書漆ニて墨書を
 なそる
 地書漆方 吉野漆 梨地漆 等分 朱を交ぜて
  火にあふり乾きを遅くす
 次に檜木の箆にて蒔繪の地へつけれハ模様つく
 次に同し地書漆にて輪郭の中をぬり
 次に毛〔棒〕にて粉をはきかけ漆をうめる
 次に風呂に入れ一昼夜かわかす
 次に椿炭みかき (軽くむらをなほす) 引砥の粉にてみかき柔かき
 紙にてぬくひ如此す三四遍
 次に毛打とて上繪をかく 花の蕊 鳥の羽等書き
 粉ヲ蒔く よくはきかけ


唐ノ節
「節隋制也~」の引用は、『宋史』巻一四八

淵鑑類函
中国、清代の類書。康煕帝の勅を奉じて、張英、王士禎らが総裁として、一三二名に分担編集させ、一七一〇年完成。全四五〇巻。唐、宋、元、明の詩文のなかから、故事成語を集めて注釈したもの。内容は、天、歳時、地、帝王以下四四部門に分類し、さらに細目に分けてある。

正倉院御物琴
正倉院北倉に収められる金銀平文琴のこと。本体は桐製漆塗りで、全面には金と銀の薄板を文様に切り、漆地に塗り込め、表面を研ぎ出してその文様をあらわす平文の技法による装飾が施されている。内部に書かれた墨書銘から唐の開元二三年(七三五)、中国製であろうと考えられている。