前言

 ガラス乾板とは透明なガラス板に写真乳剤を塗布した感光材料の一種で、フィルムが普及する前の明治時代から昭和時代前半頃まで使用されました。

 東京文化財研究所は、前身である帝国美術院附属美術研究所が昭和5年(1930)に設立された当初より、研究に不可欠な資料として、美術品・文化財の画像を収集してきました。焼き付け写真や図版資料の収集はもとより、画像収集において重要な役割を担ってきたのが、歴代の写真部(現画像情報室。初代写真技師は中根勝)による撮影です。美術研究所では、長期保存の観点から安定性の高いガラス乾板での記録が最適であると判断し、昭和10年代にはフィルムが普及し始めていたにもかかわらず、昭和30年前後までガラス乾板を使い続けました。

 これらの画像は文化財の撮影当時の姿を伝える貴重な資料ですが、経年劣化や破損が進行しているため、現在、東京文化財研究所内でデジタル化に取り組み、次世代へ向けた画像の保存公開を計っています。

 デジタル化およびデータベース作成と運用は、企画情報部の下記プロジェクトが共同で行っています。


撮影風景
  • 美術の表現・技法・材料に関する多角的研究
  • 文化財デジタル画像形成に関する調査研究
  • 専門的アーカイブの拡充(資料閲覧室運営)
  • 文化財情報基盤の整備・ホームページの運用

 作業の分担は下記のとおりです。

  • ガラス乾板の管理と目録化:文化財アーカイブズ研究室(資料閲覧室)
  • ガラス乾板のデジタル撮影:広領域研究室(画像情報室)
  • 目録情報の校正とデータ整形:広領域研究室
  • 検索サイトの作成とホームページでの公開:文化財情報研究室
  • デジタル画像の運用・管理:文化財アーカイブズ研究室(資料閲覧室)

担当者一覧

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