《智》と同様、透過近赤外線画像、反射近赤外線画像、カラー画像を比較して、全身のプロポーションには大きな違いはありません。この図についても、キャンバスに向かうときにはすでに、画家が完成図に近いイメージを持っていたことがわかります。カラー画像で鮮やかな金色が認められる右腰部分は、透過近赤外線画像でも反射近赤外線画像でも線の重なりが見え、当初の姿から変更が加えられたことがわかります。この作品は、1898年の白馬会に出品された後、1900年パリ万博に出品するに際して黒田自身によって加筆されたことが明らかになっています。