反射近赤外線画像には画面を縦横に走るグリッドが認められ、この作品が、下絵から本制作にする際に、双方にグリッドを引いて下絵を相似形として拡大していく西洋の古典的な手法を用いて描かれたことがわかります。周到な制作手法からも、この作品が依頼されたものである可能性や、写真をもとにした可能性などが考えられます。蛍光画像からは、同じように見える顔の肌色や白髪の白い色面に、性質の異なる絵具が用いられていることがわかります。微妙な陰影やモデリングを表現するために、画家が多様な画材を使いこなして絵をつくっていることがうかがえます。


