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昭和5(1930)年、東京文化財研究所の前身となる美術研究所が、黒田記念館内に設立されました。
研究所設立の契機は、大正13(1924)年に没した画家の黒田清輝が、遺産の一部を美術の奨励に役立てるようにと言い残したことによります。黒田の遺産執行人たちは、東京美術学校教授で美術史家の矢代幸雄が提唱した「美術図書館」という構想に注目し、これに基づく「美術に関する基礎的研究資料を蒐集、且つ調査すること」という基本理念を掲げ、帝国美術院の附属施設として美術研究所は開所しました。
矢代を中心とした美術研究所草創期のメンバーは、開所準備期間から国内外で調査を行い、美術作品の写真を撮影し、文献を収集しました。文化財を取り巻く環境が大きく変化し、作品自体が消失の危機にさらされることも少なくない今日、当時の調査資料は、一層貴重な価値を持つものです。
研究所の機能が拡張する中で、美術研究所は東京国立文化財研究所となり、平成12(2000)年には、黒田記念館に所在した美術部及び情報資料部が他の部署とともに現在の庁舎に移転しました。平成13(2001)年には独立行政法人化して東京文化財研究所となりましたが、美術に関する基礎的研究資料の収集と調査は、文化財情報資料部において変わらず行われています。
私たちは、かけがえのない美術作品の特徴を記録するため、新たな調査手法を日々模索しています。また、美術という概念の変化といった今日的な課題に対処しつつ研究を行い、その成果や調査資料を国内外に発信する営みを継続することも、私たちの使命です。
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