仏教はインドで発祥し、中国大陸を経て古代の日本に伝来し、経典や仏像などは中国や朝鮮半島からもたらされました。渡来した彫刻や絵画をもとに、日本の仏像や仏画が発展してきましたが、ここでご紹介する二河白道図は、中国ではなく鎌倉時代の日本で作り出された画題です。唐時代の「観無量寿経疏」に説かれる内容を絵画化しています。画面下方の娑婆世界から上方の仏菩薩のいる彼岸の間に大河が横たわり、その間にある白い細い道を進む一人の僧の姿が表されています。大河は向かって右側が水の河、左側に火の河で、此岸から彼岸へは容易に渡れないことを暗示しています。

二河白道図は奈良国立博物館の重要文化財の作品などがありますが、現存作例はあまり多くありません。この両作品は海外に所蔵される優れた作例として知られており、本事業の修復により、より良好な保存状態を回復することができました。

クリーブランド美術館二河百道図画像
「二河百道図」
一幅 14世紀 クリーブランド美術館 平成13年度修復
シアトル美術館二河百道図画像
「二河百道図」
一幅 14世紀 シアトル美術館 平成13年度修復

作品紹介