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東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援委員会の解散について

 私たちは、文化庁の要請により平成23年4月早々に文化財・美術関係諸団体等が結集して、標記の委員会を立ち上げました。そして岩手・宮城・福島・茨城の各県内の被災博物館・資料館等で、地域の貴重な文化財等の救援にあたってきました。この2年間の活動により被災県から要請のあった90を超える施設等の展示・所蔵文化財等を大量に救い出すことが出来ました。その結果、全国的な救援活動の必要性は薄れたと判断されたため、救援委員会は平成25年3月末をもって解散したところです。

 現在、被災文化財等の多くは、幾多の関係支援機関の施設で応急修理を終え、提供された保管場所で一時保管されています。しかし、早急に本格的な修復を要するものも多く、これらを無事所有者等へお返しすることができるまでには、なお相当の年月がかかると予想されます。そのため、救援委員会は解散しましたが、これに参加した各機関・団体では被災文化財等に関する情報を共有しながら、文化財の本格的な復旧・修復へ向けてそれぞれの専門分野で協力していくことを誓い合っています。

 一方、この2年間に各構成団体から寄せられた活動記録(作業日誌)については、東京文化財研究所に設置された救援委員会事務局の記録班が順次データーベース化し蓄積してきました。今後は、東京文化財研究所が中心となって画像など関連情報とも結びつけ救援活動の全容を示すデータを作成する計画を進めています。そして、これらが今後起こり得るとされる大災害への備えを検討する基礎資料となるよう継続して情報分析していきたいと考えています。

 最後になりましたが、私たちの被災文化財の救援活動は、国内外の多くの人々や企業、団体等からの寄付金、物心両面にわたる多大なご支援に支えられて行われてきました。ここに、改めて御礼申し上げるとともに、被災文化財の本格修復等に対しましても引き続き御支援・御協力いただきますようお願い申し上げ、委員会解散の挨拶とします。

平成25年4月

独立行政法人国立文化財機構
東京文化財研究所長 亀井伸雄
(元 東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援委員会 委員長)

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