この調査では物質の光のエネルギーに対する固有の特性である蛍光反応を画像情報として取得することを目的としています。剥落して不明確になっている絵具や退色した有機染料など、肉眼では捉えることが難しい情報を視覚化することができ、制作当初の状態、表現の意図、経年変化の過程などを考察する上で重要な情報となります。 下の画像は第五扇の双六盤側面の部分画像です。一見すると白色無地に見えますが、右の蛍光画像で確認すると、墨流しのような文様が浮かび上がります。これは「うち曇り」と呼ばれる文様で、鎌倉時代以降伝統的に用いられた料紙装飾様式の一種として表現されていることがわかります。