彦根屏風は江戸時代初期・寛永(1624-44)年間頃に制作された、近世初期風俗画を代表する作品です。遊里であそぶ男女15人が琴棋書画に見立てた洗練された構図で描かれています。今回の調査では、カラー撮影、近赤外線撮影、蛍光撮影および蛍光X線分析による彩色材料分析を行いました。彦根屏風の細密精緻な描写はこれまでの研究でもたびたび指摘されてきましたが、この作品が入念な下描きにしたがって描かれ、詳細な色の指示書きによって彩色されていることが明らかになりました。また描き込まれた各種モティーフは、その形状や材質感を正確に描き分けられていることがわかりました。この調査研究の成果の一部をご紹介します。