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調査研究紹介8.蛍光X線分析・二種類の赤色

下の画像は第五扇の三味線を弾く女の着衣部分です。桐の葉文様部分の赤色と、袖口の内側の赤色は一見すると同じような赤色ですが、近赤外線画像で見ると袖口の赤色のみ「朱」の指示書きが確認でき、桐の葉文様部分の赤色には指示書きが確認できません。蛍光X線分析によると、「朱」とある袖口からはカルシウムと水銀、桐の文様部分からはカルシウムと水銀に加えて鉛が検出されています。また拡大画像を見ると、表面の質感、粒度、色合いも異なっていることがわかります。赤系の彩色材料として「朱」と「丹」を使い分けることは、日本の絵画技法において伝統的な手法と言えますが、彦根屏風においても意識的に使い分けられていることが具体的に確認できました。この2種類の赤色の使い分けは、第二扇の犬を曳く女の衣にも用いられています。

第五扇 三味線を弾く女の着衣部分 同左 近赤外線画像 蛍光X線分析測定値とその部分のマクロ画像
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