所長挨拶

 令和2(2020)年度は、文化財機構の第4次五カ年中期計画(平成28〜令和2年度)の最終年度にあたります。今期の中期計画では、東京文化財研究所の社会的使命として、(1)我が国の文化財研究を、有形・無形文化財等を対象に、基礎的なものから先端的、実践的なものまで総合的に行い、その成果を国内外に発信して、我が国の文化財研究の拠点としての役割を果たす。(2)文化財担当者の研修、地方公共団体への専門的な助言を行い文化財保護に貢献する。(3)保存科学・修復技術に関する我が国の中核としての役割を果たす。(4)世界の文化遺産保護に関する国際的な研究交流、保護事業への協力、専門家の養成、情報の収集と活用等を実施し、文化遺産保護における国際協力の拠点としての役割を担うことと定めています。

 この使命を全うするため、当研究所に置かれた4研究部門のうち、文化財情報資料部では、美術工芸品等に関する基礎的な研究業務に加え、有形・無形の文化財に関する様々な情報の収集と発信に関する調査研究に力点をおいて業務を推進しています。無形文化遺産部では、従来の伝統的な音楽や演劇、芸能、工芸技術といった無形文化財や民俗芸能、風俗・慣習等に加え、民俗技術などの無形民俗文化財の調査研究を進めるとともに、音声・映像による記録を作成し、文化財の保存に必要な用具や資材の生産技術等についても調査研究を進めています。また、保存科学研究センターでは、文化財の保存に関する科学的な調査研究、修復のための材料・技術に関する実践的な基礎研究を行うとともに、国立文化財機構における保存修復業務に関する一体的な研究環境の構築を推進しています。さらに、文化遺産国際協力センターでは、アジア諸国等からの要請に基づいて文化財専門家養成や保存修復に関する技術移転等、相手国の実情に応じた共同研究や研修事業を行うなど文化の力による国際貢献に力を注いでいます。おかげ様で各部門の研究業務が順調に進展しているといえます。

 さて、東日本大震災から早くも9年、熊本地震から4年が経ちました。平成26年度から国立文化財機構本部が中心となって開始した文化財防災ネットワークは新たな体制に入る予定となっています。当研究所といたしましては近年の自然災害等の教訓を活かすべく、これまでの救援活動を分析し被災文化財の救援に関する技術や知識などの情報を取りまとめるとともに、無形文化遺産も含めて予防や減災の観点も取り入れた文化財の保存方法に関する研究も進めています。

 ところで、世界各国から要請も強い国際的な文化遺産保護支援活動を行うにあたっては、国内の関係機関や関連分野の専門家の間での協力体制を充実・発展させることが肝要です。その意味で、「文化遺産国際協力コンソーシアム」(平成18年創設)の存在は大きく、その活動がさらに広まることが嘱望されており、事務局運営を任されている当研究所としてもその活動に積極的に関わって行きたいと考えています。

 今後とも、より効率的かつ効果的な組織運営を心がけながら、当研究所が文化財保護に関する総合的な調査研究の拠点施設としてさらに発展するよう努力してまいりますので、皆様の御支媛、御協力をお願い致します。

東京文化財研究所 所長
齊藤 孝正


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