シダカゴ

ツルツルとして、一見プラスチックのカゴのようにも見えるシダカゴ。コシダと呼ばれるシダ植物の葉柄で編まれます。
水に強く、通気性がよいことから、洗った茶碗を干しておく「茶碗メゴ」などとして広く使われました。

現在でもシダカゴを作っているのは、管見の限り沖縄と広島だけですが、民俗学者・斉藤たまさんの調査によれば南九州でも(おそらく自家用に)作られたようですし、静岡や高知などでは特産品として作られていたことが知られています。
全国各地の民俗資料のなかにシダカゴがあることを考えると、一時期、相当広く流通したようです。

オカメザサのカゴ(左は製作後すぐ)

底を米字組みにし、数本束ねたシダを波型に回して立ち上げる基本形は、全国共通。
実はまったく同じ作りのカゴに、オカメザサを素材とする籠があり、これも全国各地で見られます。写真は埼玉県寄居町の新旧オカメカゴ。作ったばかりのカゴはこんなに青いのに、すぐに茶色に変色するのです。

米字底の茶碗メゴ、みなさまの地域にあるのはシダでしょうか、オカメザサでしょうか。それとも両方?はたまた別素材?
ぜひ地域の資料館などで探して、確認してみてください。

執筆:今石みぎわ(東京文化財研究所)
公開:2025年7月8日