シダ植物を用いた籠は、かつて西日本を中心に各地で生産されていましたが、現在でも技の伝承が知られているのは広島県と沖縄県のみです。

シダ籠

このうち広島県廿日市市大野のシダ籠は、明治30年代に新たな副業として当地に伝わったとされ、コシダ(Dicranopteris linearis)の葉柄(軸)部分を利用して作られます。

10月~3月頃、1メートル程度まで伸びた葉柄を根本部分から刈り、釜で2時間ほど煮ます。煮あがったものをよく揉んだら、そのまま籠編みに使える素材となります。タケ類や多くのツル性植物のように割ったり裂いたりする必要がなく、そのまま使えること、水に強く丈夫であることなど、きわめて優秀な素材と言えます。

採取したコシダを切り揃える

籠のなかでも最も一般的なのは「茶碗めご」と呼ばれる籠で、2時間ほどで編みあがります。

大野のシダ籠―広島県廿日市市

実演・協力:川西玲子ほか(しだ籠グループ)
調査・構成:今石みぎわ
撮影・編集:佐野真規
製 作 年:2024年(調査は2023年)
製   作:東京文化財研究所

本映像は、三菱財団人文科学助成「無形文化遺産における木材の伝統的な利用技術および民俗知に関する調査研究」の助成を受けて制作したものです。