田中一松(たなかいちまつ 1895〜1983)

山形県鶴岡市に生まれる。東京帝国大学(現、東京大学)文学部美術史学科卒業後、大正13年(1924)より東京帝室博物館に勤務し、以後、半世紀以上にわたり文化財行政の中枢を担う。昭和28〜40年(1953〜65)に東京国立文化財研究所(現、東京文化財研究所)所長を務める。特に仏画・絵巻物・水墨画についての著作が多い。

田中は文化財の指定業務をはじめ、その生涯で数万点の作品を調査しており、その調書には絵の特徴を端的に捉えるために多くのスケッチが描き添えられている。「山水図」など同名の作品は数多く存在するが、図様を記録することにより、作品の特定が可能となる。田中は震災や戦災などの非常時に作品が行方不明になった場合、捜索の手がかりとするため、図様を写していたと述懐している。

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