土居次義(どいつぎよし 1906〜1991)

大阪市に生まれる。第三高等学校から京都帝国大学(現、京都大学)文学部哲学科美学美術史へ進学、昭和10年(1930)より恩賜京都博物館(現、京都国立博物館)鑑査員として勤める。昭和21年(1946)同館館長。昭和24〜45年(1949〜1970)京都工芸繊維大学教授。障壁画研究を中心に、近世の諸画家について多数の論考を発表。

かつての京都近辺では確かな証拠のないまま作者が伝えられている障壁画が数多く存在していたが、土居は描写の比較分析や文献資料との照合を通して、それぞれの画家の基準作品を選定し、研究を進めた。署名のない障壁画の筆者を検討するとき、土居は細部に注目した。これは、イタリアのG.モレリ(Giovanni Morelli 1816〜91)が提唱した鑑定法に基づくもので、モレリは、画家が強く意識しない細部に癖が表れるとしていた。土居の記録には、虎の足や岩の輪郭線など、部分だけを抜き出したスケッチが多く見られる。

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