| 今度巴里（こんどぱり）より上野（うへの）の白馬会（はくばくわい）へ新着（しんちやく）の出品中（しゆつぴんちう）コラン氏（し）の作（さく）は三枚（まい）ともオペラの壁画天井画等（へきぐわてんぜうぐわとう）の下絵（したゑ）だが何（いづ）れもすらすらと描（か）いてあつて而（し）かも筆々活動（ひつひつくわつどう）の妙（めう）あり今（いま）にも舞（ま）ひ出（い）づへく弾（だん）じ出（い）づべく見（み）ゆるのは流石（さすが）々々黒田清輝氏（し）は香港（ほんこん）あたりで画（ゑが）いたらしき港内（かうない）の小景（せうけい）、最（もつと）も奮発（ふんはつ）して多数（たすう）を送（おく）つて来（き）たは東京美術学校（とうけうびじゆつがくかう）の洋画科（やうぐわくわ）より第（だい）一に洋行（やうかう）した岡田三郎氏（し）で殆（ほとん）ど廿枚計（まいばか）りあるが其中（そのうち）パステル画（ぐわ）も三四枚（まい）ありて何（いづ）れも留学中（りうがくちう）の勉強（べんきよう）と進歩（しんぽ）とを見（み）るに足（た）るの作（さく）である和田英作氏（し）も伯林（べるりん）と巴里（ぱり）とでの近作（きんさく）を五六枚（まい）を出（いだ）したが独逸（どいつ）グルウネワルドの夕陽（せきよう）など中々面白（なかなかおもしろ）い小代為重氏（し）のはスエズ掘割入口（ほりわりいりぐち）の小景（せうけい）◎此外板物（このほかはんもの）の看板画（かんばんゑ）五六枚（まい）は特殊（とくしゆ）の趣味（しゆみ）を感（かん）ずると共（とも）に研究（けんきう）に資（し）する所（ところ）が多（おほ）い |
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