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第37回文化財の保存及び修復に関する国際研究集会
「かたち」再考 ―開かれた語りのために―
開催趣旨

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開催趣旨

 本シンポジウムでは、人々の営みのなかで生み出される「かたち」を対象とします。立体感、スケール、色調、マチエール。あるいは文学における文体や踊りの所作なども広義の「かたち」に含まれます。

 「かたち」にはさまざまなものが込められています。いつ頃、どのような人が、どのようにしてつくったのか。どのように受け取られ、どのように伝えられてきたのか。その特徴、材料・技法、何らかの痕跡をつぶさに観察することから手がかりを得て、こうしたことを明らかにしようとする試みが重ねられてきました。有形の「かたち」をあつかう分野、たとえば考古学や美術史学では、「かたち」そのものにもとづく編年構築がある程度完了し、「かたち」の変遷が理解されるに至りました。しかしその方法にも限界があるようで、現在では「かたち」の背後にある機能や利用形態といった側面に目が向けられるようになってきました。

 こうした研究が豊かな成果を生みだした反面、「かたち」の問題が置き去りにされがちになるという結果ももたらしました。そこで本シンポジウムでは、これまでの成果を踏まえつつ、いま一度、「かたち」の問題に立ち返ってみたいと思います。「かたち」に注目してその特徴の理解を目指すのは、そこに文字史料には見つけ得ない人の営みを、確かに見出すことができるからです。「かたち」からしかわからない物と物との関係、人と人のつながり、物と人や場とのつながりを浮き彫りにすること。「かたち」そのものがもつ力に改めて目を向けること。こうした目的のために、「かたち」そのものをいかに研究対象として、議論の俎上にのせていくかが問題となってきます。

 本シンポジウムでは、美術史学、考古学、建築史、芸能史など、「かたち」をあつかう諸分野の方法論を集めて討議することを試みます。「かたち」を議論するための共通の地盤を探りつつ、開かれた有効なアプローチの方法を模索するなかで、「かたち」そのものがもつ力に迫りたいと思います。

 
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