日本では多様なツル性植物が利用されてきましたが、そのひとつにツヅラフジ科の植物があり、日本ではオオツヅラフジとアオツヅラフジの利用が知られています。このうちオオツヅラフジは関東南部以西、四国、九州、南西諸島に分布し、籠などの編みものの材料として利用されてきました。ここでは岐阜県揖斐川町旧春日村におけるオオツヅラフジの採取・加工の技術を紹介します。
オオツヅラフジは主に石灰岩質の山に生えると言われ、親株から地面を這うようにシュートが伸びます。そうして伸びた1年生以上のシュートを12~3月頃に採取し、所々に生えている根を小刀で丁寧に落としたら、そのまま1年ほど乾燥させます。使用時は、1週間程度水で戻したら、割いたり皮を剥いたりすることなく、そのまま使えると言います。
ツヅラフジの籠として最もスタンダードだったのは、ショイカゴやビクと呼ばれるカゴで、山菜や自然薯の採集籠として利用しました。
オオツヅラフジの採取・加工―岐阜県揖斐川町
実演・協力:小寺春樹
調査・構成:今石みぎわ
撮影・編集:佐野真規
製 作 年:2024年(調査も同年)
製 作:東京文化財研究所
本映像は、三菱財団人文科学助成「無形文化遺産における木材の伝統的な利用技術および民俗知に関する調査研究」の助成を受けて制作したものです。