日本列島では、さまざまな種類の樹皮が、糸や縄、籠、衣服などの日用品に加工され、用いられてきました。
その中でも特に高い加工技術を要するのが、樹木の内皮から採り出した繊維を糸を紡ぎ、布に織り上げる「樹皮布」です。
樹皮布の原料としては、シナノキ、コウゾ、クズ、フジ、オヒョウなどが知られており、現在でも各地でその技が引き継がれています。

このうちオヒョウ(ニレ科)は、主にアイヌ民族で使われてきた素材です。
オヒョウ製の樹皮布はシナノキ等に比べて柔らかく、色が白いため、伝統的織物であるアットゥシなどの原料として大変重宝されてきました。
オヒョウ自体は本州以南にも自生しますが、樹皮布としての利用事例は本州以南では見当たらず、アイヌ民族に特徴的な利用技術と言うことができます。
オヒョウの樹皮採取は、木が水を吸い上げる成長期にあたる6~7月初旬に行なわれ、この時期でなければうまく皮を剥がすことができません。
樹木から剥ぎ取った樹皮から、内皮を剥ぎ分け、ここからさらに長い時間と手間をかけて加工され、水に強く、丈夫な糸に仕立てられていきます。
ここでは、2019年に二風谷民芸組合が実施した樹皮採取の様子をご紹介します。

映像「オヒョウの樹皮採取ー北海道道央地域―」
調 査:今石みぎわ・菊池理予
撮 影:佐野真規
編 集:佐野真規
製作年:2026年(調査は2019年6月15日)
協 力:二風谷民芸組合・宮地鼓(国立アイヌ民族博物館)
制 作:東京文化財研究所
