雨や雪を避けるために着る蓑(みの)。稲わらやシュロ、スゲ、シナノキなどの樹皮、地域によっては海草など、その地域で身近に採れる材料で作られました。

蓑は、東北北部地域ではしばしば「ケラ」とも呼ばれました。このうち藤里町の「ササゲラ」は、全国にも類例のない、ササの葉をつづって作られたもの。
ササの新葉が2~3枚でそろった頃にその若葉を集め、熱湯にくぐらせて乾燥させてから、クゴ(※)と呼ばれる植物を撚った紐で編んで作るそうです。

1枚のケラに使われるササは300枚近く。
1着作るためには数百本のササが必要になるのだそう。

まさに「森をまとう」という言葉がぴったりの風情のササゲラ、実際に雨の日に着てみたらどんな着心地なのか、気になりますね。

参考文献:秋田県立博物館1984『開館10周年記念 秋田県立博物館10年のあゆみ』
藤里町教育委員会2021「文化財だより」№5
八坂書房2001『日本植物方言集成』

執筆:今石みぎわ(東京文化財研究所)
公開:2025年7月8日
更新:2025年7月15日