上野旧博覧会跡第（うへのきうはくらんくわいあとだい）五号館（がうくわん）に於（おい）て開会中（かいくわいちう）の日本絵画協会（にほんくわいぐわけふくわい）の第（だい）一回絵画共進会（くわいくわいぐわけうしんくわい）は既（すで）に五六百点（てん）の出品（しゆつぴん）になりしが同会（どうくわい）と聯合（れんがふ）して本月（ほんげつ）一日より開会（かいくわい）する筈（はず）なりし白馬会（はくばくわい）の油絵展覧会（あぶらゑてんらんくわい）は都合（つがふ）に依（よ）り今（こん）五日正午（せうご）より開会（かいくわい）せり同会場（どうくわいぜう）は洋風（やうふう）の装飾（さうしよく）をなし目先変（めさきかは）りて大（おほい）に見栄（みは）へあり出品中小代富重氏（しゆつぴんちうをしろとみしげし）の幅（ふく）二間余（けんよ）の大額（おほがく）は我兵澎湖島上陸（わがへいはうこたうぜうりく）の実景（じつけい）にして非常（ひぜう）の大作（たいさく）なり先（さき）に山本芳翠氏（やまもとはうすゐし）が宮内省（くないせう）の御用（ごよう）にて揮毫（きがう）せし旅順（りよじゆん）、金州（きんしう）、朝鮮（てうせん）を始（はじ）め日清戦争（につしんせんさう）の実況油絵額（じつけうあぶらゑぐわく）は今度拝借願済（こんどはいしやくねがひずみ）にて陳列（ちんれつ）せり此外黒田（このほかくろだ）、久米（くめ）の両画家（れうぐわか）を始（はじ）め油絵新派（あぶらゑしんぱ）の連中（れんちう）にて揮毫（きがう）せしもの沢山出品（たくさんしゆつぴん）ある由（よし）なり
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