| 十日より開会出品頗る多し＠十日（か）より上野竹（うえのたけ）ノ台（だい）に於（おい）いて開催（かいさい）されたる白馬会展覧会（はくばくわいてんらんくわい）は出品数（しゆつぴんすう）六百余点（よてん）に上（のぼ）り新作品（しんさくひん）には黒田清輝氏（くろだきよてるし）の人物画（じんぶつぐわ）三点（てん）、風景其他（ふうけいそのた）九点（てん）、岡田（おかだ）三郎助氏（ろすけし）の人物（じんぶつ）二点（てん）、長原孝太郎氏（ながはらこうたろうし）の「新聞紙（しんぶんし）」、中沢弘光氏（なかざわひろみつし）の奈良（なら）、湯（ゆ）ケ嶋（しま）の風景（ふうけい）五点（てん）、山本森之助氏（やまもともりのすけし）の海景（かいけい）二点（てん）、小林鐘吉氏（こばやしかねきちし）の風景（ふうけい）五点（てん）、其他跡見泰（そのたあとみたい）、岡野栄（おかのえい）、小林萬吾（こばやしまんご）、中村勝次郎（なかむらかつじろう）岡吉枝（おかよしえ）、熊谷守（くまがいもり）一の諸氏（しよし）を始（はじ）め新進作家（しんしんさくか）の出品頗（しゆつぴんすこぶ）る多（おゝ）く又帰朝以来期待（またきちよういらいきたい）され居（い）たりし藤嶋武（ふじしまたけ）二氏（し）は人物風景（じんぶつふうけい）の作品（さくひん）廿七点（てん）の外（ほか）にシヤブアンヌ筆壁画（ふでへきぐわ）の一部（ぶ）の模写（もしや）を出品（しゆつぴん）し湯浅（ゆあさ）一郎氏（ろうし）も新作品（しんさくひん）の外（ほか）にヴエラスケス筆（ふで）の模写（もしや）四点（てん）を出品（しゆつぴん）したるが中（なか）にもマドリツト府美術館（ふびじゆつくわん）に在（あ）る官女織女（くわんじよおりめ）の二図（づ）は頗（すこぶ）る見事（みごと）なるものにて前者（ぜんしや）は高（たか）さ一丈（じよう）三寸余幅（すんよはゞ）九尺（しやく）あり後者（こうしや）は高（たか）さ七尺幅（しやくはゞ）一丈（じよう）三寸余（すんよ）の大幅（たいふく）なり尚（な）ほ別（べつ）に参考品（さんこうひん）としてはコルモンの画稿（ぐわこう）四点（てん）、コランのデツサン四点（てん）、ワグマンの画等数点（ぐわとうすうてん）あり。 |
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