文化財や美術作品の記録に広く用いられる写真について、撮影が手軽になった反面、最大限の情報の取得や、対象を観察し記憶することへの注意が希薄化した面もある。このような危機感から本報告書では、被写体の「記憶」に結びつく写真のあり方や、過去の写真からの情報取得について、油画、版画、水墨画などさまざまな作品の写真を通じて検討した。
令和3年(2021)6月30日発行 目次刊行にあたって写真、記録、記憶をめぐって 凡例 絵画研究における「写真」の利用―宋時代絵画の事例に注目して― 板倉聖哲 仏教文化研究への新しい視座 神居文彰 デューラー≪書斎の聖ヒエロニムス≫の明暗表現 齊藤陽介 仏像写真の歴史とその行方 皿井舞 油彩画を遺し伝える写真をめぐって 山梨絵美子 記憶から読み解く 村上藩主内藤家歴代当主肖像画にみる公家装束 田中潤 沖縄の記録写真と文化財復興 外間一先 記憶をとどめる ものの記憶 ―記憶を遺し伝える― 城野誠治 謝辞 |