美術部では日本近代洋画の礎を築き、また当研究所の創設に大きく与った画家、黒田清輝について、これまでさまざまな角度から研究を行ってきたが、今年度は彼が新聞や雑誌に遺した談話や文章を集成した『黒田清輝著述集』を編集・刊行した。
黒田の著述を集めたものとしては、すでに『絵画の将来』(中央公論美術出版、1983 年刊)があるが、今回は、先行書では未収録のものにその後新たに確認されたものを加え、長短あわせて152 篇もの記事をおさめた。 自身の制作に関する談話はもちろん、美術行政家として手腕を発揮した黒田らしく展覧会や美術館についての提言、さらには歌舞伎の素人評や自らの失敗談など内容も多岐にわたっている。採録した記事の末尾には適宜注釈を入れ、また文字も原 典の字体を可能な限り忠実に再現して、掲載当時の雰囲気を極力伝えるようにした。 2007年9月10日発行 本書は中央公論美術出版より市販されています。 |