
当研究所では、平成16年から17年にかけて、京都府宇治市の平等院と共同で、鳳凰堂の仏後壁の調査を行って参りました。本調査は、平成15年から五ヶ年にわたって行われた鳳凰堂の国宝阿弥陀如来坐像及び天蓋の修理に併せて実施されたものです。「平成の大修理」と名付けられた本事業では、ご本尊を始め光背や台座が堂外に運び出され、通常、詳細に見ることの出来ない仏後壁が全貌を現しました。調査では、この仏後壁のカラー・蛍光・近赤外線による撮影及び顔料調査を行いました。仏後壁全体の撮影は創建以来初めてです。
仏後壁の画題や制作年代については諸説提唱されており、一連の報告書が、今後美術史研究に有益な情報を提供出来るよう願っております。