| ▽洋画界（やうぐわかい）の重鎮（ぢうちん）、白馬会（はくばくわい）は解散（かいさん）と決議致（けつぎいたし）候。此（こ）の決議（けつぎ）は確（たしか）に美術界革新（びじゆつかいかくしん）の曙光（しよくわう）を与（あた）へたるものにて候。思（おも）ふに同会（どうくわい）の最盛時（さいせいじ）は創立以後（さうりついご）五六年間（ねんかん）にて、今日（こんにち）まで其（そ）の勢力（せいりよく）を維持致（ゐぢいたし）候は所謂惰力（いはゆるだりよく）と可申（まをすべく）、其精神気迫（そのせいしんきはく）は既（すで）に十年（ねん）の昔（むかし）に於（おい）て衰滅（すゐめつ）に帰（き）し居（をり）候。今日（こんにち）の解散（かいさん）は洵（まこと）に機宜（きゞ）を得（え）たるものと存（ぞんじ）候。＠▽惰力（だりよく）によりて其（そ）の勢力（せいりよく）を維持致（ゐぢいたし）候もの、白馬会（はくばくわい）のみに限（かぎ）り不申（まをさず）、斯（かゝ）る団体（だんたい）は宜（よろ）しく此の顰（ひん）に倣（なら）ふてドシドシ解散（かいさん）を希望致（きばういたし）候＠斯（か）くして従来美術界（じうらいびじゆつかい）に揺曳（えうえい）せる腐敗（ふはい）の空気（くうき）を一掃（さう）し、各自向上（かくじかうじやう）の道途（だうと）に上（のぼ）らば、将来健実（しやうらいけんじつ）の発展（はつてん）も期待被致（きたいゝたさる）べくと存（ぞんじ）候。 |
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