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白馬会関係新聞記事 第6回白馬会展

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白馬会大作の一二
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| 某 | 日本 | 1901(明治34)/10/29 | 5頁 | 展評 |
△大きいものでいふと出口清一郎氏のお百度抔も其の内にあるが、人物も生きて居らぬ割合に向ふの屋根、手前の欄杆も皆な死んで居る△赤松麟作氏の下等列車、車内の人物は一々性格が発揮せられてある様にも思はるゝが、何時迄見て居つても何の面白味も湧いて来ないのが不思議だ、面白味がないからツマラヌ画とは云はれまいが、併し是は何か必要な或点を忘れられたセイに違ひないと学生らしき人が話して居つた、棚の上に載せたものが鞄とさとツたのは僕の手柄であらう△湯浅一郎氏の裸体美人、右腹のへうたんの如くフクレたる、左腕の覚束なくも肩にツキたる、左足の下にダラリと下りたる、蝦夷菊か何か瓶に指したる花の色のケバケバしき、不自然も亦甚だしい、これを見て美といふ感念を起すものがあツたならば借りても三百ツン出すベイ△白瀧幾之助氏の親子三人にてあかん坊の髪を剃る図、眠りたるあかん坊を膝に載せたる母の笑顔、後に小腰を屈めて静に窺ひ寄れる小娘、剃刀を取れる祖母の体度も可なりの出来だ、但し剃刀を取りたる右手の食指と中指の間が開いてあるに中指が屈まずして食指と共に伸びたるは受取れない△黒田清輝氏の裸体美人、流石は旨いものだ、此の前の裸体美人の比ではない、血色と金髪とがことに気に入ツた△これは大作の外だが藤島武二氏の桃花の写生は素人の我々にも難有味は分かる△別室には仏蘭西の絵看板が沢山掲げられたが、中には日本画から脱化したものもある、聞けば一枚に拾五円位出したものもあるといふことだ△警察の注意で裸体画又は彫刻の或部分に紙片又は綿布を張り廻はしたるは滑稽至極だ是を見て警察の干渉を攻撃し、一面には此の干渉に甘じて出品している会員の卑屈を歎くものがある(某)

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