白馬会関係新聞記事 第6回白馬会展
| 醜術界（しふじゆつかい）一掃（さう）の議（ぎ） ＠併（あは）せてＦＨ生（せい）に誨（をし）ゆ |
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| | 黒馬散人 | 中央新聞 | 1901（明治34）/11/11 | 1頁 | 雑 | | |
| 編輯総長机下 去四日ＦＨ生「黒馬散人に告ぐ」の投書御掲載の當日小生直ちに一書を裁し是を机下に致したるも不幸今日迄御掲載の栄を得ず多分悪事醜行摘発の嫌あるが為め御没書相成候事と奉存候願くば机下既にＦＨ生に其所懐を述るを評せし■度を以て左記要領を概言するの栄を許し玉はゞ幸甚不過之候早々頓首＠西洋美術家（せいやうびじゆつか）の諺（ことわざ）に『モデルよりメカケ』と申（まを）す事有之（ことこれあり）候由右（よしみぎ）は一時間幾（じかんいく）らと云（い）ふ大金（たいきん）を払（はら）つてモデルを聘用（へいやう）せんよりは寧（むし）ろ是（これ）を妾（めかけ）として一挙両得（きよりやうとく）の策（さく）を講（かう）ずるが得策（とくさく）なりとの意（い）にて彼地（かのち）に在（あ）りては斯（かゝ）る諺（ことわざ）あるより実行者多（じつかうしやおほ）しと申（まを）すより斯（かゝ）る実行者多（じつかうしやおほ）きより此諺（このことわざ）あるやの由（よし）に御座候＠美術家（びじゆつか）とモデル間（かん）の関係既（くわんけいすで）に久（ひさ）しく高尚熱心（かうせうねつしん）に美術（びじゆつ）を尊崇（そんすう）する彼地（かのち）に在（あ）りてすら既（すで）に斯（かく）の如（ごと）き弊害（へいがい）あり彼（か）の裸体画（らたいぐわ）の如（ごと）きは遥（はるか）に是（これ）を美術館（びじゆつくわん）に褒讃（はうさん）するも親（した）しく是（これ）を自邸内（じていない）に賞玩（しやうぐわん）するを避（さ）け是（これ）を寝室（しんしつ）に秘掲（ひけい）するも是（これ）を客室（きやくしつ）に公表（こうへう）する能（あた）はず所謂敬（いはわるけい）して遠（とほ）ざくるの風習（ふうしふ）と聴及（きゝおよ）び申候＠到（いた）る所（ところ）に彫刻絵画等骨格真（てうこくくわいぐわとうこつかくしん）に迫（せま）つて殆（ほと）んど活躍（くわつやく）せん許（ばか）りの姿勢（しせい）を見（み）て斯（かゝ）る妙技（めうぎ）は到底充分（たうていじうぶん）なる裸体（らたい）の研究（けんきう）に依（よ）るに非（あら）ずんば能（あた）はずと心酔（しんすゐ）せしむる程（ほど）なる大作（たいさく）ある彼国（かのくに）に於（おい）てすら裸体（らたい）に対（たい）する斯（かく）の如（ごと）くなるに係（かゝは）らず顧（かへり）みて我邦（わがくに）の所謂美術家（いはゆるびじゆつか）なるものゝ素行品位如何（そかうひんゐいかん）を見（み）るに某（ぼう）は某（ぼう）の妻（つま）を姦（かん）し其妻亦某（そのつままたぼう）に姦（かん）せられ某（ぼう）は某（ぼう）に通（つう）じて其妻（そのつま）を去（さ）り某（ぼう）は其女生（そのぢよせい）に通（つう）じ某（ぼう）は其女生（そのぢよせい）を容（い）れて妾（めかけ）と為（な）し某（ぼう）は『モデルよりメカケ』を実行（じつかう）して範（はん）を後進（こうしん）に垂るゝなど百鬼夜行殆（きやかうほと）んど人（ひと）をして美術界（びじゆつかい）？醜術界（しふじゆつかい）？と疑（うたが）はしむる者有之（ものこれあり）候は啻（たゞ）に美術界（びじゆつかい）の一大耻辱（だいちじよく）たる而巳（のみ）ならず実（じつ）に我邦（わがくに）の一大耻辱（だいちじよく）なり斯（かゝ）る醜術家（しうじゆつか）が我美術界（わがびじゆつかい）の風上（かざかみ）に跋扈（ばつこ）する今日猥（こんにちみだ）りに裸体画（らたいぐわ）を奨励（しやうれい）し青年画家等（せいねんぐわから）をしてモデルモデルと打騒（うちさわ）がしむるは得策（とくさく）にあらずと存（ぞん）じ候是（こ）れ余輩（よはい）が裸体画奨励（らたいぐわしやうれい）の前（ぜん）に先（ま）づ醜術界（しうじゆつかい）一掃（さう）の議（ぎ）を唱（とな）ふる所以（ゆゑん）に有之（これあり）候＠ＦＨ生吾言（せいわがい）ふ所（ところ）に疑（うたがひ）あらば請（こ）ふ去（さ）つて是（これ）を君等（きみら）の首領（しゆりやう）と仰（あほ）ぐ白馬会の張本者（ちやうほんしや）に問（と）へ | |
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