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◎住友氏と洋画 大坂の豪商（がうせう）住友吉右衛門氏は平常深（へいぜいふか）く意（い）を美術（びじゆつ）に寄（よ）せ殊（こと）に洋画（やうぐわ）を愛（あい）するよしなるが此程金（このほどきん）千円（ゑん）を投（とう）じて白耳義より遥（はる）かに我（わ）が白馬会（はくばくわい）に寄（よ）せ来（きた）り先頃（さきごろ）の同会展覧会（どうくわいてんらんくわい）に出陳（しゆつちん）せしウヰツトマン夫人筆牡丹（ふじんひつぼたん）の大幅（たいふく）を購（あがな）ひたりと東都（とうと）の素封家中能（そほうかちうよ）く此種趣味（このしゆしゆみ）ある嗜好（しこう）を有（いう）するもの幾人（いくにん）ぞや＠◎博物館と洋画 帝国博物館（ていこくはくぶつくわん）にては前記夫人（ぜんきふじん）の良人（れうじん）ウヰツトマン氏筆月下（しひつげつか）の水汲婦（みづくみをんな）の額（がく）を数（す）百金（きん）にて買上（かいあ）げたりと是（こ）れにて海外（かいぐわい）より遥々出品（はるばるしゆつぴん）の甲斐空（かいむな）しからで好評（こうへう）の上（うへ）に夫々買取（それぞれかいと）られたれば白馬会（はくばくわい）にても早速（さつそく）右の代金（だいきん）を両氏（れうし）の許（もと）に送（おく）りたりと＠◎外山氏の肖像 帝国大学（ていこくだいがく）にては総長歴代（そうてふれきだい）の肖像（せうざう）を油絵（あぶらゑ）にして保存（ほぞん）し置（お）く例（れい）なるが前総長（ぜんそうてふ）外山正一氏（し）の分は先頃（さきごろ）より黒田清輝氏（し）に其揮毫（そのきがう）を嘱（しよく）せしに此程出来既（このほどしゆつたいすで）に掲（かゝ）げ済（す）みになりしと又同画伯（またどうぐわはく）は兼々（かねがね）住友氏（し）の依頼（いらい）ありたる富嶽（ふがく）の図（づ）を写生（しやせい）の為（た）め駿州地方（ちはう）に旅行（りよこう）するやに聞（き）く |
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