| 今度新（こんどあら）たに上野の白馬会展覧会（はくばくわいてんらんくわい）に掲（かゝ）げられたる遠来（ゑんらい）の大額（たいがく）伯耳義画家（ぐわか）の油絵（あぶらゑ）は中々好評（なかなかうへう）なるが右（みぎ）の画家（ぐわか）ロドルフ、ウィツトマン氏（し）は該品（がいひん）に添（そ）へ左（さ）の意味（いみ）の書面（しよめん）を黒田清輝氏（し）に贈（おく）り越（こ）したりと＠予は曩に在ブラツセル名誉領事アレキサンダー、ハローの照会を以て予等出品の希望を告げしに間もなく叮嚀なる貴翰に接し茲に予等が出品の栄を得るに至る予は深く貴下の厚意を謝すると同時に本品が無事安着の時に於る受領陳列の労を思ふて予め之を今日に謝せんと欲す予は望む本品が名誉ある白馬会の開場中に着して敬愛すべき美術国人士の一瞥を博せんことを云々＠と又書末（またしよまつ）に夫妻（ふさい）の略歴（りやくれき）を記（しる）しあり之（これ）に依（よ）ればロドルフ、ウイツトマン氏（し）は白耳義テルモンドの人（ひと）一千八百六十年同国展覧会（ねんどうこくてんらんくわい）に於（おい）て金牌（きんぱい）を得仏（えふつ）のリルアミアン。ボルドー、英のリバープール、独のコローニユ等各地展覧会（とうかくちてんらんくわい）にても賞牌（せうはい）を受（う）けたることあり又現（またげん）に独逸ミユニツク、伯林の展覧会（てんらんくわい）にも出（い）だし居（を）りて有名（いうめい）なる仏国シヤンドマルスのサロン（新派（しんぱ））には年々出品（ねんねんしゆつぴん）する由牡丹（よしぼたん）を画（えが）ける夫人（ふじん）ジユリエツト氏（し）は一千八百六十年（ねん）にブラツセルに生（うま）れ現今（げんこん）白耳義王女（わうじよ）アンリウニツト殿下（でんか）の画学教師（ぐわがくけうし）にして斯加古を始（はじ）め独のユローニエ仏のボルドー伯のブラツセル等各地（とうかくち）の展覧会（てんらんくわい）に出品（しゆつぴん）して賞牌（せうはい）を得（え）たることありといふ |
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