第60回オープンレクチャー

みること、つたえること

文化財の研究は対象をみることから始まります。研究の間、研究者は文化財の様々な見え方とともにあると言えます。そして研究成果を誰かにつたえるということは、文化財を後世につたえるということでもあります。
この講座はみること、つたえることに日々向き合う研究者による新たな知見をより多くの方々に紹介するものです。

2026年11月3日(火・祝)

13:30~16:30(13:00受付開始)  於 東京文化財研究所・地下セミナー室

大航海時代の日欧交流 ―日本製輸出漆器から読み解くその興亡―

小林 公治 (東京文化財研究所 特任研究員)

1543年、中国船に乗って種子島に到来したポルトガル人は火縄銃を伝えます。1549年、スペイン人宣教師フランシスコ・ザビエルはヤジロウと共に鹿児島に上陸し、キリスト教の布教を始めました。こうして16世紀半ばに始まった日本とヨーロッパとの歴史は100年ほど続き17世紀半ば、突然終わります。
この講座では、この日欧最初の出会いと終焉について、この時代の日本製工芸品「南蛮漆器」から考えてみましょう。

文化財研究最先端-X線CTによる新発見

鳥越 俊行 (奈良国立博物館 上席研究員)

近頃病院でお世話になるX線CT、実は文化財調査でも使われています。日本には仏像や工芸品など、多くの木製文化財がお寺や神社、博物館にありますが、その展示や修理の際には科学的な調査を実施して文化財の「健康診断」を行います。今回の講座では、私がおよそ20年の間、九州、奈良、東京の各国立博物館でX線CT調査した数々の文化財から、特に思いがけない発見があったいくつかの事例を皆様にご紹介したいと思います。

2026年11月4日(水)

13:30~16:30(13:00受付開始)  於 東京文化財研究所・地下セミナー室

明治維新と御用絵師―鍛冶橋狩野家の選択

田中 純一朗 (皇居三の丸尚蔵館 主任研究員)

「画壇の家康」と称された江戸狩野派の始祖・狩野探幽の末裔で ある鍛冶橋家は、幕末明治という激動の時代にいかに対処したのでしょうか。狩野探原と探美兄弟、樋口探月らを取り上げ、新時代に船出した鍛冶橋家の選択した道を、皇室・宮内省の絵画事業との関連や、明治後期の日本画壇における「旧派」成立の問題と絡めて論じます。それによって、鍛冶橋家の画家たちが、近代日本美術の伏流を形作ったことを明らかにします。

黒田清輝と高村光太郎

塩谷 純 (東京文化財研究所 上席研究員)

詩人として著名な高村光太郎は、彫刻家の高村光雲を父に持ち、東京美術学校で学んで彫刻や絵画を制作する美術家でした。美術批評においても、芸術家の自由な自己表現を訴えた「緑色の太陽」を執筆し、近代の美術界で先鋭的な役割を果たした光太郎ですが、斯界の大立者として君臨した洋画家の黒田清輝に対しては終生、敬愛の念を抱いていました。光太郎が黒田に向けたまなざし、そして黒田が後進の美術家に与えた影響をめぐり、あらためて考えてみたいと思います。

受講方法

受講には事前申込が必要です(抽選制)。下記Webフォームまたは二次元コードよりお申し込みください。なお、Eメール、ファックス、お電話での申込は受け付けておりません。

申し込み期限:2026年10月18日(日)(当選の場合は10月23日(金)までにEメールにてご連絡いたします。)

日程 2026年11月3日(火・祝)~ 11月4日(水)
時間 各日13:30~16:30(13:00受付開始)
会場 東京文化財研究所 地下セミナー室
受講料 無料(要申込)
定員 各日120名(応募者多数の場合は抽選)

問い合わせ先

東京文化財研究所 文化財情報資料部

〒110-8713 東京都台東区上野公園13-43

E-mail kjkenkyukai_tobunken@nich.go.jp