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第57回オープンレクチャー
かたちを見る、かたちを読む
※開催は終了いたしました

造形美術は、時や場所、作者等、さまざまな要素が絡みあい、ひとつのかたちとして結実しています。

それらの要素をひもとき、あらためてそのかたちを見つめ直す作業を繰り返しながら、わたしたちはそこに込められたものをより深く、正確に読むことになるのではないでしょうか。

この講座は、かたちあるものに向き合う研究者による、新たな知見や成果をご紹介するものです。


(チラシ:PDF/804KB)

2023年10月20日(金)
13時30分~16時30分(13時受付開始)  於 東京文化財研究所・地下セミナー室
西洞院時慶の庭 ―長谷川派の藤花図屏風をめぐって―
小野 真由美(文化財情報資料部 日本東洋美術史研究室長)
西洞院時慶(1552~1640)は近世初期の公卿で、その日記『時慶記』は安土桃山時代の京都の様相を鮮やかに伝えています。ことに植物や園芸についての記述は豊かで、そ の庭を公家のみならず武家も愛でたことがわかります。時慶と草花を介した多彩な人々との交流をたどると、そのひとりに長谷川等伯(1539~1610)がいます。そこで、慶長5年の“等伯へ白藤の枝を遣わした”という記事などから、長谷川派の藤花図屏風の由縁を探ります。


アイヌの肖像画「夷酋列像」にこめられた 国家守護の願い
春木 晶子(江戸東京博物館 学芸員)
「松前藩家老職をつとめながらアイヌの姿を描いた異色の画家蠣崎波響の代表作「夷酋列像」の原本かと思われる作品11点が、フランスのブザンソン博物館で発見された」。『日本美術年鑑』1985年3月の記事です。描かれたのは、アイヌの蜂起の収束に尽力した、アイヌ指導者たちでした。その絵姿に波響は、蝦夷地ひいては日本の守護への祈りを、忍び込ませたのではないか――発見からまもなく40年を迎える「夷酋列像」のかたちを紐解きます。
2023年10月21日(土)
13時30分~16時30分(13時受付開始)  於 東京文化財研究所・地下セミナー室
「画廊資料」をいかに残し、活用するか
橘川 英規(文化財情報資料部 文化財アーカイブズ研究室長)
戦後、日本において現代美術の発表の場は、美術団体による公募展から、都市圏の画廊に移行しました。当研究所資料閲覧室では、画廊経営のなかで編成された業務資料、あるいは美術評論家が作成した展覧会案内や展示写真をまとめた冊子など、数多くの「画廊資料」を所蔵しております。このレクチャーでは、現代美術の展開に重要な役割を果たしたいくつかの画廊の活動を、さまざまな資料から紐解きながら、その意義について考えます。


「原爆の図」の歴史をつなぐ
岡村 幸宣(原爆の図丸木美術館 学芸員・専務理事)
広島の原爆の惨禍を描いたことで国際的に知られる丸木位里、丸木俊の共同制作「原爆の図」。埼玉県東松山市に作者自身が開設した原爆の図丸木美術館は、開館から56年の歳月を経た現在、絵画の保存修復とともに、その器である建物の改修にも取り組んでいます。美術館の支援と「公共」の在り方、絵画が土地に根ざして育む「文化」の視点も含めて、絵画の歩んできた歴史をどのように未来へつないでいくか、課題と可能性を考えます。
 

受講方法
9月11日より募集を開始します
受講には事前申込が必要です(抽選制)。 下記Eメール、ファックス、往復はがきのいずれかで、
東京文化財研究所文化財情報資料部あてに、お申し込みください。
いずれの場合も、必ず表題に(メールの場合は件名に)「オープンレクチャー受講申込」と明記の上、参加希望日・ご住所・ご氏名(ふりがな)・電話番号・ファックスでお申し込みの方はファックス番号をお書き添えください。

■定員:100名(抽選制)
■受講料:無料
■申し込み期限:2023年9月29日(金) ※受講申し込み受付は終了しました
(当選者の発表は受講票の発送をもって代えさせていただきます)
■申し込み・問い合わせ先:
東京文化財研究所 文化財情報資料部
〒110-8713 東京都台東区上野公園13-43
E-mail  kjkenkyukai_tobunken@nich.go.jp
ファックス 03-3823-2371
電    話 03-3823-4829(土日祝日を除く 10:00~17:00)


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