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第34回美術部・情報資料部公開学術講座

2000年10月25日(水)
会場 東京都美術館講堂
入場者数 125名

中世の童子形と神
津田 徹英(情報資料部写真資料研究室研究員)
わが国の古代・中世において、老人とともに子供(童子)が神に近い存在であったという認識は早くから文化史や国文学の方面から指摘されています。しかし、実際の造形(美術作品)においてこれがどのように関わって造形表現として昇華をみたかはあまり明確ではありません。本講演では、中世の彫刻・絵画作例から聖性を持つ童子形を集め、そこに認められる共通する特徴を指摘しながら、童子形像が聖性と関わる場合の暗黙の了解事項を分析しました。


中国新疆キジル石窟壁画の仏伝図の諸問題
中野 照男 (美術部第一研究室室長)
西域は、仏教説話に関わる美術の宝庫です。西域北道最大の石窟群であるキジル石窟にも多くの仏伝図がありますが、時代によって仏伝図の内容と表現形式が変化しています。簡単には、釈尊の事跡への関心、釈尊の追慕から、釈尊の説いた法への関心、その法の不滅性の強調へと変化したと言えます。その変化のありさまを、宗派、民族、石窟造営の担い手、典拠となった経典などの視点から分析しました。

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