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第33回美術部・情報資料部公開学術講座

1999年10月22日(金)
会場 東京都美術館講堂
入場者数 127名

“写意”と“理想”と“こころもち” -明治中期の日本画と言説-
塩谷 純(美術部第二研究室研究員)
明治20年代末、日本の美術界は転機を迎えていました。洋画では黒田清輝率いる白馬会、日本画では岡倉天心・橋本雅邦を中心とした日本絵画協会の画家が新派として台頭し、また美術ジャーナリズムの確立するこの時期には、画家の活動が批評家の言説(もしくは画家自身)と密接にからみ合いながらセンセーショナルに増幅されていきました。本発表では、そうした明治中期の美術にまつわる言説の中から“写意”“理想”“こころもち”をキーワードに、当時の、とくに日本画をめぐる状況を解きほぐす試みを行いました。


室町時代の画と詩 -雪舟「破墨山水図」について-
島尾 新 (情報資料部写真資料研究室長)
室町時代の絵画には、画上に詩の書かれたものが多いです。題画詩という画を観た時の感興を詠んだものと思われがちですが、この時代の画と詩は禅僧の社会の中でより多様な機能を持っていました。「破墨山水図」に記された、雪舟自身の言葉と京都の禅僧たちの詩からは、この作品が複数の機能を同時に果たす、いわば多目的の絵画だったことが読みとれます。本講座では、この雪舟画を入り口として、室町時代の画と詩の織りなす様相を概観しました。

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