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第9回美術部公開学術講座

1974年10月26日(土)
午後1時30分~午後4時30分
会場 日本経済新聞社小ホール

中国絵画の近代百年
鶴田 武良
近代百年の前期(1840-1919)は太平天国の動乱により画家が上海に集中し、任?、呉、昌碵に代表される鮮麗な色彩と大胆な構図を特色とする海上派が形成された。後期は主として日本・フランスに学んだ留学生によって西洋画法を取り入れた新国画が生まれた。さらに1930年には、徐悲鴻らによって社会主義リアリズムによる美術運動が始まり、解放後の美術運動の基礎をつくった。


清朝の絵画
川上 涇
清朝画壇の著しい特色の1つは、文人画家の職業化である。その発生以来、文人画を支えていたのは地主層であるが、明の末期に農業経済力に対する商業経済力の優越が決定的となり、家郷を離れた文人画家が庇護者を求めて商業都市に集中する。乾隆期の楊州八怪はその代表的存在であり、その画風と生活は近現代に及ぶ。ただ他方、旧来の文人画家が永く余脈を保っていたことも看過し得ない。

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