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第8回美術部公開学術講座

1973年10月27日(土)
午後1時30分~午後4時30分
会場 日本経済新聞社小ホール

藤原時代の彫刻
猪川 和子
藤原時代彫刻の主要な基準作を、まず中央作を尊像別に年代順に配列し、その展開のあとを整理した。とくに四天王像において、円教寺、禅定寺、善水寺、法隆寺等の十世紀基準作例に共通する形制上の一種の完成、すなわち和様化について指摘し、作家と願主、作品の形制の関連について考察した。また、藤原時代の地方作の、材質、技法の異なる諸作例をあげ、さらに最近新発見の胎内墨書銘等を、スライドを用いて行った。


明治宮殿杉戸絵について
関 千代
明治宮殿杉戸絵については、さきに『美術研究』264号にその調査報告を発表した。その際、杉戸絵の制作に関連して、明治前期における日本画界の状勢についてかなり具体性をもって新事実を明らかにすることができた。即ち、大規模な墺国博への政府参同と、それにより、もたらされた明治美術への影響、強力な日本美術復興の気運、1882、1884両年に開催された初の政府主催絵画共進会の洋画不参加と杉戸絵制作事情の関連等がその主な内容である。なお、杉戸絵については、未公開のカラースライド80余枚を使用し、紹介した。

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