「日常性への下降」から「芸術性への上昇」へ ─赤瀬川原平・他《模型千円札事件》における作品空間の生成と移動― 富井 玲子(とみい れいこ)
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美術史において、現代美術・前衛美術は、論者によって定義が一定しない部分もあるとはいえ、むしろ「既成のモノの価値に異議申し立てをすること」を定義とすることで、その本質がより鮮明になってくるのではないだろうか。たとえば、日本の1960年代に、批評家・宮川淳に「日常性への下降」と評された反芸術は、近代的な絵画彫刻が標榜する自律するモノとしての芸術性の否定を標榜するものであり、現代美術的な「異議申し立て」の代表例だろう。 |