ボストンにおける羅漢―大徳寺五百羅漢図の旅―
グレゴリー・P・レヴィン
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1894年12月から1895年3月にかけて、ボストンの人々は、西洋世界ではそれまで決して見せられることのなかった、驚きにみちた図像と描写による仏画たちを目の当たりにすることになった。44幅の中国の羅漢図がそれである。この羅漢図は、周季常と林庭珪という画家が1178年から1188年頃までに完成させ、16世紀以来、日本の寺院、大徳寺に伝来してきた100幅一具で構成される五百羅漢図の一部であった。大徳寺の仏画たちは、19世紀後半、日本から海外に送られてボストン美術館で陳列され、アメリカの都市でビクトリア朝の時代精神を有していた知識人をはじめ、鑑定家、仏教信者たちの間で、センセーショナルな波紋を巻き起こしたのである。羅漢図は、さらにフィラデルフィアの美術アカデミー(5月3日〜11日)で陳列され、ついで19世紀協会(the
Century Association)(5月25日〜30日)によってニューヨークでも展観されており、その後は、ヨーロッパに旅した可能性もある。 (井手誠之輔訳) |