【加害対象物】
古文書、書籍、紙、掛け軸
【被害の状態】
食害、糞による汚染
【加害するステージ】
全ステージ(無変態昆虫)
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【分布】
世界各地の熱帯、亜熱帯気候
【形態的特徴】
シミの中ではかなり体サイズが大きい。全体的には黄白色と黒褐色のまだら模様だが、黄白色の横方向の筋が入ることが特徴的。模様や体の大きさはセスジシミに似るが模様の入り方が横方向な点が異なる。腹部末端の腹刺の数は雌雄ともに3対である。生体で最大15mmほど。腹部末端の第10節は短く三角形をしている。
【生態・加害の特徴】
もともと暖かい地域で生活しており、高い気温に適応している。50℃程でも生存可能である。ただし、低温に弱く本州以北であれば屋外で越冬することはほとんどない。爬虫類のペットの餌としても流通している。被害としては、紙の表面を摂食し穴をあける。本の中を穿孔して食害を行うことはない。紙資料の隙間で潰れて汚してしまうこともある。他のシミ類と同様に暗い場所や隙間を好んで生息している。動きが俊敏で移動速度は速い。滑らかな表面を歩けないが、移動速度の速さを利用して少しの段差なら超えられる。
【予防と管理上の注意点】
定期的な清掃をして清潔な環境に保つ。長期間30℃を超えるような環境に維持しなければ爆発的な繁殖はあまり起きない。
【対処】
ゴキブリのような他の害虫に対する対処の中でともに管理が可能。博物館内部の除塵清掃の徹底を心掛ける。資料自体の殺虫処理はあまり効果がない。毒餌(ベイト材)の殺虫効果が確認されており、対処に有効であると考えられる。
【参考資料】
関連論文:
・ | 軸装の昆虫による被害について |
森八郎・新井英夫 |
『保存科学』第20号(1981) pp.27-35 |
・ | マダラシミおよびニュウハクシミに対するベイト剤の殺虫効果 |
小野寺裕子・島田潤・渡辺祐基・小峰幸夫・木川りか・佐藤嘉則 |
『保存科学』第62号(2022) pp.193-198 |