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年報の発刊にあたって

 2006 (平成 18 )年度は、独立行政法人化後の第一期5ケ年計画が、恙なく所期の成果を達成したことを受け、新たな第 2 期の5ケ年の中期目標に基づき始まった中期計画実施の初年度であり、これまでの評価を参考に、新規の目的達成へ向けて歩み始めました。
 折しも、これまで所員の身分が公務員型から非公務員型となり、また、予算的にも年々削減が進み、業務の運営にもより厳しい効率化や見直しが求められてきており、所員一同の意識改革が求められてもおります。
 今期中期目標においても、基礎的・体系的な調査・研究や、総合的な視点に基づく手法の開発、最新の科学技術を活用した先端的な開発推進とその質的向上、保存上緊急性を有する文化財のための実践的な調査研究などがあり、また、新たに保護対象となった民俗技術・文化的景観に関する調査研究の推進があります。さらには、国際協力の拠点としての位置付けの明確化と、その機能の充実、継続的なネットワークの構築、アジア諸国を中心とした国際貢献への寄与の推進が求められるとともに、国内的にも、地方公共団体・諸機関との連携協力体制の構築やそれによる文化財保護の質的向上への寄与、指導者層を対象とした研修事業や、連携大学院教育の実施による人材育成も大きな目標となっています。これらの事業を円滑かつ有効に機能させるためには、特に、調査・研究成果の適時適切な発信による社会還元や、国民の理解と協力を得るための広報面の充実も喫緊の課題であり、その成果も出つつあります。そして何よりも、これらを執行する上での業務運営の効率化等々が求められております。
 このような状況の下、それに対応すべき体制整備として、情報システムの充実・文化財アーカイブズの拡充を図るため、これまでの協力調整官を企画情報部に、また、新たな保護の対象に民俗技術や文化的景観が加わったり、ユネスコの無形文化遺産保護条約の成立をうけて、あらゆる無形文化財に対応し、かつ、国際協力をも進めるため、芸能部を無形文化遺産部に改組しています。さらには、国際センターにおいても、東京・奈良の両研究所の一体的な業務運営を図るべく、奈良の国際遺跡研究室員を国際センターに併任するなどの措置を実施しました。
 昨年度の活動を回顧しますと、上記中期目標・計画の初年度でもあり、全体としてまだ、充分な成果をあげているわけではありませんが、年度計画に示されている、我が国の文化財保存に関する中核的機関として、多分野にわたる多様な調査研究業務を実施し、かつ、文化財の保存と活用に資する調査研究の成果を提供できたものと確信しております。
 なお、この年報が発行される頃には、新たに独立行政法人国立博物館と統合して設置された独立行政法人国立文化財機構の東京文化財研究所となっており、これに伴う組織の再改編が実施されておりますことを付け加えなければなりません。
 しかし、組織体制にどのような変化がありましても、当研究所が我が国における文化財研究の中核的研究機関の一つとして、文化財保護行政における重要な位置に立ち、それを支える役割を担っていくことは変わりなく、今後とも一層の努力を重ねてまいりたいと存じておりますので、皆様の益々のご理解とご協力を賜りたくお願い申し上げます。

 2007(平成19)年5月

独立行政法人国立文化財機構
東 京 文 化 財 研 究 所
所 長   鈴  木  規  夫
 © 独立行政法人国立文化財機構 東京文化財研究所