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横山大観≪山路≫の調査研究

 


(写真撮影:城野誠治)
 

東京文化財研究所エントランスロビー パネル展示

当研究所では、エントランスロビーにおいて、さまざまな研究成果を展示しております。



   ごあいさつ

 本研究所は昭和5年に帝国美術院附属美術研究所として開設されて以来、文化財に関する調査研究を推し進めてきました。その一環として画像や文献といった、広く研究に資する文化財情報の提供に努めてまいりました。とくに『日本美術年鑑』の編集や研究資料データベースの公開等、文化財アーカイブの役割をになう企画情報部では、『美術研究作品資料』の刊行も逐次行なっています。これはひとつの作品をめぐって、近年の美術作品に対する関心の多様化や撮影技術の進化に対応した研究成果の集成を目指したもので、このたび第6冊目となる『横山大観《山路》』を刊行いたしました。今回のパネル展示は、その内容の一端をご紹介するものです。
 近代日本画の巨匠として知られる横山大観が明治44年の第5回文部省美術展覧会に出品した《山路》(永青文庫所蔵)は、発表当時、西洋の印象派と南画の融合と評されたタッチを多用することで、明治30年代に大観らが試みた朦朧体を脱し、大正期に流行した新南画≠フ先駆けとなったといわれる重要な作品です。平成22年より「永青文庫常設展示振興基金」による事業の一環として同作品が修理されるにあたり、当研究所では永青文庫との共同研究として、《山路》に関する多角的な調査研究に取り組んできました。このたび刊行の『横山大観《山路》』では、修理の過程で得られた新知見や顔料調査の結果、及び発表当時の批評等、本調査の過程で得られた諸研究成果の集成をめざしています。調査研究に際し、これまでご協力いただいた関係各位に感謝を申し上げますとともに、同書が研究資料として広く活用されることを願っています。

独立行政法人国立文化財機構
東京文化財研究所長
亀井 伸雄


   
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