東文研トップ > パネル展示  >  「洛中洛外図屏風の修理」 パネル展示
 東京文化財研究所エントランスロビー パネル展示 (終了しました。)
当所では、研究成果を来所者の皆さんにご理解いただくために、エントランスロビーを利用して、定期的にパネル展示を行っております。現在は、洛中洛外図屏風(ロイヤル・オンタリオ美術館蔵)の修理について、研究成果を公表しております。

洛中洛外図屏風1


洛中洛外図屏風2
(撮影:鳥光美佳子)
   海外に所在する日本の古美術品は、気候風土等の違いから、保存状態があまり良くない作品も少なからず認められるにもかかわらず、修理の知識や技術が十分でないために、公開活用ができない上質の作品も多く認められます。
 このような優れた美術工芸品は、日本文化を紹介する役目を担った、いわば文化大使ともいうべき重要な存在でもあり、平成3(1991)年文化庁は、傷んだ作品を日本へ里帰りさせて修復するための「在外日本古美術品保存修復協力事業」を始めました。その後、事業は東京文化財研究所が実施することになり、これまでに修復協力した美術館・博物館数は48館、修復点数は332点を数えています。
 今回は、平成18(2006)年度に修復が完了した作品のうちの一つ、洛中洛外図屏風の修理について美術史研究の成果も交えてご紹介致します。現在、洛中洛外図屏風は100点ほどの作例が確認できますが、そのなかで、屏風の左右に二条城と方広寺大仏殿を大きく表す構図で表され、17世紀中頃の制作と考えられます。画中には総勢1300人を超える人物が細密な表現で描かれ、社寺や名所の名を記した付箋が77枚も具備していることからも美術史研究上、貴重な作品です。
 この展示を通じ、我が国の文化による国際貢献・協力の一端をご理解いただければ幸いです。

洛中洛外図屏風
六曲一双 紙本金地着色 江戸時代(17世紀)
ロイヤル・オンタリオ美術館(カナダ)所蔵
修理前:各隻 本紙151.0×367.0cm、全体165.2×381.2cm
修理後:各隻 本紙151.0×369.6cm、全体166.2×384.8cm
修理担当:株式会社 墨仁堂
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