ご挨拶
特別史跡キトラ古墳壁画保存修復事業は、東京文化財研究所と奈良文化財研究所が文化庁からの受託事業として、行っているものです。
キトラ古墳は、平成12年に特別史跡に指定され平成13年より「特別史跡キトラ古墳の保存・活用等に関する調査研究委員会」が設置され、キトラ古墳の保存策に関して検討されてきました。 その結果、壁画の描かれた漆喰層の劣化が著しいことが判明し、壁画をすべて取り外した上で修復保存することが決定されました。これを受けて、当研究所は石室内環境を常時観測制御して、 黴の発生を抑えながら壁画の取り外しを進め、平成19年8月現在では、石室内に天文図のみを残すところとなりました。
この展示では、壁画の取り外し方法、取り外された壁画、まだ石室内にある天文図などを実物大で展示すると共に、取り外しに用いた機材を展示し、壁画取り外しの実際と 壁画の状況をご覧いただき、これからも続く取り外し作業と壁画修復に関してご理解とご協力をお願いするものです。
最後に現場で実際に取り外し作業を行っている修復技術者、様々な道具・機械の開発にご協力いただいている方々など、多くの関係者の皆様のご協力に厚く御礼申し上げます。
(平成19年8月 東京文化財研究所 所長 鈴木規夫) |