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X線透過撮影による仏像の調査・研究





 
東京文化財研究所エントランスロビー パネル展示
当研究所では、エントランスロビーにおいて、さまざまな研究成果を展示しております。
土日祝日をのぞく平日の午前9時から午後5時30分まで、どなたでもご覧いただけます。
展示は終了しました



    仏像がどのような構造になっているのか、あるいは、どこまでが造られた当初の状態を保っているのかを知ることは、仏像の調査・研究を行ってゆくうえでの基礎的事項に属します。多くの場合、目視による表面観察によって、それらの推測はある程度まで可能です。しかしながら、限界があることも否めません。
 木彫の場合、像内の内刳(うちぐ)りがどの程度なのか、あるいは、像内に納入品が存在するかどうか、また、それが像内にあってどのような状態で納められているかということについては、像表面の観察から正確に把握することは困難です。まして、脱活乾漆造(だっかつかんしつづくり)や鋳造の場合は、表面観察だけでは像の構造や像内の様子を窺うことはほとんど不可能です。そして、そのような場合にX線透過撮影が威力を発揮します。
 X線透過撮影による仏像研究は、当研究所の前身にあたる美術研究所においてはじめて、わが国での本格的な導入がなされました。それは設立間もない昭和7年(1932)頃に遡ります。それまでの欧米の美術館における調査研究は、主として油絵の鑑定に用いられていましたが、これを日本の文化財研究に用い、最も効果をあげたのが仏像への適用でした。以来、わが国における仏像研究の一手法として、X線透過撮影による調査・研究は東京文化財研究所が牽引してきたといっても過言ではありません。
 今回のパネル展示では、企画情報部の研究プロジェクト「美術の技法・材料に関する広域的研究」の一環として、保存修復科学センターの協力を得て、これまで行ってきた調査・研究の一端を紹介したいと思います。

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