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内国勧業博覧会美術品出品目録

 近年、日本近代美術に関する研究は、国内のみならず欧米、アジアなど海外でも急速な高まりを見せている。各種の展覧会、著述、シンポジウムが国内外で行われ、国際レベルでの研究交流が進められようとする中で、研究ベースとなる基礎資料の公刊への期待はとみに高まりつつある。
 東京国立文化財研究所は一昨年、明治期の主要な美術団体のうち五つの美術団体の出品目録を復刻・データベース化した『明治期美術展覧会出品目録』を刊行した。同書は、美術部第二研究室が昭和六十三年度から四ヶ年計画で行った特別研究「日本近代美術の発達に関する明治後半期の基礎資料集成」の報告書であったが、今回刊行にいたった本書もまた、どう研究の研究成果として報告するものである。本書は明治期に国内で開催された内国勧業博覧会第一回(明治十年)から第五回(同三十六年)の美術・工芸品に関わるものをまとめたものである。
 明治期における万国博覧会・内国勧業博覧会などの内外博覧会は、美術団体展とならぶ明治美術の活動拠点となった場であり、同時に一方で、開国まもない日本と世界を結ぶ窓口となった場でもあった。そのため、ジャポニスムによって収集された日本の美術工芸品を現在でも数多く所蔵する欧米では、博覧会資料に関する関心はことに高い。近年、海外所在の日本美術品の調査が進み、美術品の移動に絡む博覧会資料の調査のために、国内外から研究者が頻繁に来訪する中で、そうした博覧会資料の公刊が強く望まれていた。
 本書の公刊にいたるまでには、一昨年の美術団体展の資料公刊のとき以上に、これまで当研究所が共同で博覧会研究を行ってきた機関や研究者の方々から、多大なご協力とご助力を賜った。心からの感謝を申し上げるとともに、本書が近代美術や博覧会、東西交流史の研究に資し、国内、国際レベルの研究交流に益することを、切に願ってやまない。

目次

 序
 凡例
 解題
 内国勧業博覧会開催一覧
 国内開催博覧会関係資料所在一覧
 内国勧業博覧会美術品出品一覧
 第一回内国勧業博覧会
 第二回内国勧業博覧会
 第三回内国勧業博覧会
 第四回内国勧業博覧会
 第五回内国勧業博覧会
 褒賞授與人名表
 第一回
 第二回
 第三回
 第四回
 第五回
 出品人及び製作人姓名・号名索引
 姓名索引
 号名索引

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