帝院第二部五会員意見書提出 

記事番号:00049
年月:1936年05月

帝展の問題に関して、是れ迄に提出されてゐる意見書は、総て所謂旧帝展系の作家、或は世間で不開催派と呼ぶ旧帝院以来の会員に依つて唱へられる所の所謂再改組意見であつて、新帝展支持の意見を有する会員等は、何等発言する所が無かつたのであるが、世論も多く再改組を当然と認めるやうになつた情勢に鑑みて、帝国美術院第二部所属の会員、石井柏亭有島生馬安井曽太郎山下新太郎梅原竜三郎の五名は、五月七日連署の意見書を平生文相宛に提出して所信を明らかにした。その要旨として伝へられた所は左の通りである。 「第二部旧会員の主張する帝国美術院解消論は越権の沙汰である。新帝展不開催を唱へることは初めの総会で決定した決議に反するばかりでなく春の帝展は第一回展の半分をすましただけであるから秋の分も開き一通り第一回展を終つたうへ初めて新帝展の欠陥を云々すべきであらう、帝院から展覧会を切り離して文部省展を開き審査員を別に任命することは旧帝展時代の弊害を再び繰り返すことであるから展覧会はあくまで帝院で行ひ会員が審査に当るべきである、今秋の洋画展は或は綜合の実には欠くるかも知れぬが春の帝展の成績をみると既に旧帝展改革の一つの目的たる情実打破は実現されたと見てよい、以上の理由から新帝展はあくまで続行し最初の目的に邁進すべきである。」

登録日: 2014年04月11日
更新日: 2020年12月11日 (更新履歴)
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