漆芸会解散 

記事番号:00046
年月:1936年05月

正木直彦を会頭とし明治三十一年創立以来の歴史を有する漆芸会は、既に其の目的を略果したものとして、前項日本漆芸院の結成と同時に解散することゝなり、左の声明を発した。 「明治聖代の中期に於ける近代美術工芸変遷の黎明期に当時の新人層によつて創立され、大正時代を経て現代に至つた本会が、その不短過去に斯界へ対して成し得たる業跡は尠しとしない。其間社会の支持と先輩の鞭撻並に会員の熱意努力は不断の研究会を続け数十回に渉る展覧会に研鑚して向上に励み幾多の人材を世上に送り出した。蓋し帝都に於て漆工芸の現在を荷負つてゐる大多数の中堅作家を登竜せしめた事は斯界のため誇るに足るべき貢献と謂ふべきである。今や初期以来希望せる漆芸会としての目的に略到達したるを以て此時を劃し時勢を洞察して茲に潔よく解散を決したのである。解散に臨んで数多の功労ある先輩や社会の支援に深甚の感謝と敬意を表する次第である。」

登録日: 2014年04月11日
更新日: 2020年12月11日 (更新履歴)
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